オーストリアを代表するグリューナーの銘醸畑であり、ワイナリーにとってリースリング・ハイリゲンシュタインと並ぶ、トップ・キュヴェ。 畑名「ラム Lamm」はその名の通り粘土がちのローム土壌だが、キャラクターの決め手はロームの下に存在するハイリゲンシュタインと同じペルム期の火山性礫岩土壌。スモーキーな香味と重層的果実味、筋肉質で凝縮感あふれるパワフルなワインを生む。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 【味わい】 スモーキーでアーシーな香り。メロンのような控えめな果実味はミネラルの背後にあり、フィニッシュにかけて酸がキビキビと果実味に切り込み陰影を与え、長い余韻はクール＆エレガント。贅肉の全くない、それなのに優しいワイン。こんなに透明で静謐な印象を与えるラムは珍しい。グリューナーが到達し得る、最高レベルの味わい。オーストリア流の若飲みもいいけれど、10年以上の熟成を経た姿も楽しみ。 【テクニカル・インフォメーション】 シュロス・ゴベルスブルクが所有するのはハイリゲンシュタインの丘の南東部区画で、ほとんどがリラ仕立てで樹齢は40年に達する。周辺の生産者より、年にもよるが３週間近く遅い収穫で果実味に「磨き」をかける。 2020年は寒暖と乾湿が複雑に交錯した、生産者の力量を測るには絶好の年。収穫期の夜間の低温が繊細で美しい香味を育くみ、秀逸なリーフワークと選果が最高のワインを生んだ。マンハーツベルク産オーク製2500ℓの大樽で18か月間の熟成。 【ワイナリー】 シトー派のツヴェッテル修道院所有のお城で、1171年よりワイン造りの記述が残るオーストリア最古のワイナリーのひとつ。1994年以来名門ホテル経営一家出身のミヒャエル・モースブルッガーが、果樹園や穀物畑、家畜なども含めた城周辺全てのプロパティーを運営。瞬く間に同国を代表するトップワイナリーに躍り出た。除草剤は一切使わないサステイナブル農法と、抜きん出て遅い収穫が特徴。木樽熟成のワインは天然コルク、樽に触れないワインはスクリューキャップを用いて瓶詰する。シグネチャー・ワインは、修道院伝統製法を復活させた「トラディション Tradition」。